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自己破産における自由財産の拡張とは?

「自由財産の拡張ってなんだろう?」

自己破産をすると何もかもを失うという世間一般のイメージがあるのですが、その認識は誤解です。

自己破産における自由財産、そして自由財産の拡張の概念をきちんと理解すると、案外いろんな財産が残せることが、わかりますよ。

今回は、自己破産における自由財産の拡張とは?という疑問について詳しく解説いたします。

自由財産の拡張とは

自己破産における自由財産の拡張を知る前に、「自由財産」そのものについておさえておきましょう。下記に整理いたします。

①99万円以下の現金

②差押禁止財産(生活必需品)

③拡張が認められる財産

④新得財産

⑤破産管財人が破産財団から放棄した財産

...と、大きく区分いて5つです。

これらの財産は、自己破産をしても処分されず、保持することができます。

99万円以下の現金

自己破産をしても、99万円以下であれば現金を保有することが認められています。

もっともこの現金といっているのは、あくまでキャッシュのことです。

預金口座のお金については没収対象となっていることは、おさえておかねばなりませんね。

なので、当センターに相談にこられた方には、自己破産前に預金口座からの引き出しをお願いしております。

また、自己破産前に財産を売却して現金を取得する行為は、後に違法行為とみなされるケースがあるので注意しましょう。

なぜ99万円までは所有できるのか?

ちなみに、自己破産しても99万円まで所有できる理由はなんでしょうか?

これは民事執行法により、現金66万円以下の没収が禁止されている事項が由来です。

民事執行法131条の3号に「標準的な世帯の2ヶ月の必要経費を勘案して政令で定める額の金銭」は差押えてはならないとあります。

政令で定める額が、1ヶ月に33万円なので、2か月分で66万円です。

自己破産ではこの条例が拡張され3か月分、すなわち99万円までの所有が認められます。

差押禁止財産とは?

現金以外でも、差し押さえされない財産「差押禁止財産」についても、下記に整理いたします。

生活に欠くことのできない衣服、寝具、家具、台所用具、畳および兼具

1カ月間の生活に必要な食料や燃料

農業を営む人の農器具や肥料、家畜、飼料、次の収穫までの種子など

漁業を営む人の採捕や養殖のための漁網、漁具、えさや稚魚など

技術者や職人の業務に欠かせない器具など。在庫商品は除く

実印その他の印で職業や生活に欠かせないもの(印鑑)

仏像、位牌などの礼拝や祭祀に直接必要なもの

日記や商業帳簿など

破産者や親族が受けた勲章やトロフィーなど名誉を表彰するもの

学校その他の教育施設で学習に必要な書類や器具など

発明品や著作物などで、まだ未発表のもの(公表されていないもの)

義足や義手、身体補足の器具、災害の防止や消防設備、実印、勲章、仏像

建物などの防災設備、消防器具、避難器具その他、災害防止のための備品

 

上記でもっとも重要な財産が「生活に必要な衣服や家具」です。

洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、などの日用品、生活のための家具や家電や、衣服などが差し押さえを免除されます。

なお換金処分しようのない小さなグッズや本なども、没収を免れます。

差押禁止債権とは?

次に、差し押さえ禁止の債権について下記に整理いたします。

給料、賃金、棒給、退職年金、賞与等の給与4分の3相当の金額

退職金、退職手当などの性質の債権の4分の3相当の金額

民間の個人年金保険など、

国や地方公共団体以外から生活のために継続支給される給付の4分の3相当の金額

国民年金、厚生年金、共済年金などの公的年金の受給権

小規模企業共済金の受給権

失業保険(雇用保険)による給付金の債権

生活保護費の受給権

給料は、差し押さえされたとしても、4分の1にまでです。

そもそも破産法の差し押さえ対象に、給料や年金は含まれていないのです。

ただ、退職金が差し押さえられる可能性には注意が必要です。

①既に受給している場合は、現金や預金扱い

②近い将来、貰う予定なら、受給予定額の4分の1相当が差押え

③当分は貰う予定がないなら、「受給見込額」の8分の1相当が差押え

...のケースがあるので、おさえておきましょう。

もっとも、いきなり将来受け取るはずの退職金を支払うことは出来ないので、現実には同額の現金を代わりに積み立て、破産財団に組み入れることになります。

また退職金については、後述する「自由財産の拡張」が認められる可能性もあります。

認められれば現金とあわせて99万円以下なら差し押さえが免れます。

新得財産

破産法には「破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産は、破産財産とする」となります。

つまり、自己破産の手続き後、あなたが新しく得た財産は、破産財団の対象とならないという意味です。

この財産を「新得財産」と呼びます。

破産管財人が破産財団から放棄した財産

上記に当てはまらない財産は自由財産とはならないので、破産管財人に選定されて、換金処分されます。

ただし破産管財人が「これは処分するコストが高くて買い手がつかない」と判断すれば、換金処分をやめるケースもあるのです。

このような財産を「破産管財人が破産財団から放棄した財産」と呼びます。

以後、この財産は自由財産扱いとなります。

自由財産の拡張とは

自己破産をすると、債務者は借金返済を免責されますが、保有している財産は換金されて、そのお金はカード会社へ配当されることになります。

ただし上記でご説明したとおり、自由財産に関しては自己破産後も残すことができる訳です。

「自由財産の拡張」とは、この自由財産として取り扱う範囲をひろげることです。

自由財産の拡張が使えるケース

たとえば破産者が障害を抱えており、破産手続きにより保険を解除させるケースを考えて見ましょう。

こうなると破産後に再び保険に加入できる保証はありません。

保険に加入できないので自動車などの移動手段を使えなくなります。

ただでさえ障害により体が不自由なのに移動手段を奪ってしまうと、生活が困難になるおそれがありますね。

このような事態が生じないように、破産法では本来、自由財産とは扱われない財産であっても、裁判所の決定により自由財産として扱われることがあるのです。

これが自由財産の拡張です。

自由財産の拡張の判断基準

自由財産の拡張は、どこまで認められるのでしょうか?

先に判断基準を述べると、「破産者にとって、その財産が生活に不可欠である」と裁判所に認められるかどうかによります。

東京地方裁判所などでは、この拡張できるか否かがリスト化されています。

「自由財産拡張基準」と一般に呼ばれています。このリストに載っていない場合でも、きちんとした手続きで財産の必要性を申し立てれば、認められる場合もあります。

むろん、認められないことも少なくありません。

たとえば99万円以上の現金については、自由財産の拡張として認められない傾向があるようです。

自由財産拡張の申立の方法

「自由財産拡張の申立書」を裁判所に提出すると、裁判所は破産管財人に意見を求め、判断をおこないます。

裁判所によりますが、まずは破産管財人と協議をした上で、申立書を提出した方がベターというパターンもあるようです。(東京地方裁判所など)

なお自由財産拡張の申し立ては、破産手続き決定の確定日から1ヶ月の間にしなければならない点は注意が必要です。

ただ裁判所によりこの期間が伸張される場合もあります。

まとめ

チェック

一般的に自己破産=財産を失う、というイメージがあるのですが、自由財産の拡張の概念をおさえると、そうでもないことが判りますね。

家財道具一式など、生活に必要なものは最低限残すことができるのです。

自己破産をきちんと理解すれば、より効果的に制度を利用することができますよ。

借金問題は、時間が経つほど悪化していきます。

厳しい返済で追い詰められていくと、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかります。そうなる前に、司法書士などの専門家に相談することをおススメいたします。

  • 所有している財産は破産管財人が調査をして換金処分すべきものを選定する
  • 現金については、99万円以下なら無条件で保有することが認められている
  • 自由財産の拡張が認められたものは破産手続き後も手元に残すことができる
  • 自由財産の拡張の認可は、「破産者にとって、その財産が生活に不可欠である」と裁判所に認められるかどうかにかかっている

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